2009年5月7日木曜日

大型科研費応募結果/NRAO Users Committee Meeting の報告

1. VLBA支援のための大型科研費申請状況の報告
2. NRAO Users Committee(2009 5/4-5/5)の報告

2009年5月7日 今井 裕 (鹿児島大学)

上記1について
 新学術領域研究(代表:観山正見)はヒアリングに呼ばれなかった。
 不採択の理由について分析が必要。
  VLBAの重要性については認知されているはず
   (2008年6月天文月報の記事やJAXA/NAOJ幹部からのコメントより)。
 「新学術領域」というカテゴリへのあてはめに無理があった?
   時期的な問題でそれが唯一の解だった。
  支援の規模としては、今回の応募規模(7000万円/年、700時間/年に対応)が適当。
   次回「重点領域」で応募するためには、VLBIコミュニティーによる合意と
   (競合しないための)根回しが必要?
   
上記2について
目的: NRAOの望遠鏡のユーザー(比較的若手の研究者)によるNRAOの望遠鏡整備、
 新規開発、ユーザーサポート体制についての評価と「勧告」
 ※日本や他国で行われているusers meeting とは意味合いが異なる
  1. NRAOユーザーでない他分野の研究者も招集される。任期もある(4年)。
  2. 個別研究者からというよりむしろ委員会としての勧告込みの報告が提出される。
  3. 前年度の報告がどこまで達成されたのかも吟味される。

得られた情報(日本のVLBIコミュニティーに直接関係すること)
 a. VLBAについて
  4GHz帯域幅化、6.7GHz受信システム(for メタノールメーザー)搭載:現在進行中。
  Key Science Program (重要かつ天文学コミュニティーに対して成果がvisibileなテーマ)に
   集中投資を検討。
  メタノールメーザーアストロメトリを強力に推進。
 ※2009年9月(あと5か月)までにNFS以外の機関から$3M/年の運用資金が調達できなければ、
  その時点でVLBA閉鎖が決まる。今のところ複数研究機関からの支援のオファーがきているが、
  NASA-NSF間のMoUが成立しなければ資金調達は不可能。今週末に状況が判明する予定。
  また、例えこのMoUが成立しても(他の支援も含めて)期間限定のはずなので、
  日本から支援するための努力は続ける必要がある(VSOP-2をVLBAを使って実行したければ)。
 b. VLBIデータのCASAによる解析の可能性:
   Fred Lo台長の腹案、共同開発の必要性、
   fringe fittingなど幾つかのVLBI特有のデータ処理モジュールを追加すれば
    使えることが力説された。
   Classical AIPSの保守は常勤職員1名のみが当たっている。
   CASAでVLBIデータの解析ができるようになった時点でAIPS保守はなくなるかもしれない。
  ※VSOP-2データ解析用パイプラインをCASAベースで開発する?
  (今のところはAIPSベースのParselTongueを採用する計画)
 c. 年3回のプロポーザル公募から、ALMAプロポーザル公募に併せて年2回の公募へなる予定。
  全てのNRAO望遠鏡が同じタイミングでのdeadlineではまずい、
  8月1日のdeadlineではまずいという意見もあり検討中。
 d. EVLAのOpen Risk Share Operation の開始:今年9月から、これから3年間
  ※High Sensitivity Array における VLAのphase up機能追加は検討課題。
  ※VLA-Pie Town linkの需要は大きいが、論文出版の実績があまりないらしい。
  ※Residence Risk Share Operation というカテゴリもある。
   野辺山/VERA所内時間みたいなものだが、大学院生の参加が認められておらず、
    賛否両論が出ている。
   RRSOのカテゴリをVLBAやGBTにも適用すべきという勧告が出される予定。
 e. webの大改修:現在進行中。
  ※大衆には予想外にあまり認知されていない。どうやって宣伝する(認知させる)?
   望遠鏡毎にユーザー限定のニュースも流すべきという勧告が出される予定。
 f. $1Mの予算(定常運用分)カット:
  GBTでの大量定年退職者に対して補充ができない。
  NRAOユーザーサポートの質に影響がある。
  ※論文投稿料補助についてはインパクトが小さいので継続するらしいが、
   削減の対象ではある。
  ※ALMA、EVLA等望遠鏡建設経費は別口である。
 g. NRAO望遠鏡によるサイエンスの推進の仕方についての議論
  現在は観測機会を提供するのみ。
  研究者/ポスドクの雇用や各種経費のサポート(HST方式)の必要性について議論
   これは当面無理だが、予算獲得に向けてNRAOとの共同提案はあり得る?
   ※米国の場合、個人寄付以外にはNSFしか予算要求/
   競争的資金を公募していないことを嘆いている人がいた。
 h. North America Array (=SKA high-band のpathfinder)の推進: 
  NRAOがリードすることに。
  EVLA完成(=観測システムのアップグレード)2013年以降?